運送会社の残業代請求で計算上の問題点を指摘し 当初提示額の約5倍となる110万円で解決した事例

事例の依頼主様
60代|女性
相談前の状況
ご相談の内容
運送会社でドライバーとして勤務していた方から、退職後、未払い残業代についてご相談をいただきました。
ご相談者は、夜間の運転を含む長時間の勤務に従事していました。給与明細には時間外手当や深夜手当などが記載されていたものの、実際の労働時間に見合った残業代が支払われているのか、疑問をお持ちでした。
給与には歩合給が含まれており、労働時間だけでなく、基本給や各種手当をどのように残業代の計算に反映させるかが問題となる事案でした。
解決への流れ
弁護士の対応
受任後、会社に未払い賃金の支払いを求めるとともに、運転日報、賃金台帳、給与明細、雇用契約書、就業規則などの開示を求めました。
開示された運転日報などをもとに労働時間を整理し、給与の内訳を確認して残業代を計算しました。その際、すでに支払われている時間外手当なども考慮したうえで、未払い残業代約155万円と遅延損害金を合わせ、約172万円を請求しました。
これに対し、会社は、運転日報の「待機」「不明」とされた時間も休憩時間として扱うべきであること、一部の手当を残業代の計算の基礎に含めるべきではないこと、給与は実質的に歩合給であることなどを主張しました。会社が当初提示した解決金は、約22万円でした。
計算内容を検証して増額交渉
その後、会社から60万円の解決案が提示されましたが、当方は会社側の計算書を検証し、基本給に対応する残業代や法定労働時間内の残業に対する賃金が計算に反映されていない点などを具体的に指摘しました。
また、仮に会社のいうとおり給与全体を実質的な歩合給として捉える場合でも、計算の基礎となる賃金の範囲を見直す必要があるとして、会社側の提示額では解決できないことを説明しました。そのうえで、話し合いによる解決を目指し、当方から135万円の解決案を提示しました。
会社は、その後、提示額を90万円に引き上げました。しかし、新たな計算書にも、各項目の金額と合計額が整合しない問題がありました。
そこで当方は、会社側が主張する計算の前提を踏まえた場合でも、計算結果は約112万円になることを示しました。交渉による解決のため金額を調整し、110万円での解決を提案しました。
- 解決済み
- 解決の結果
- 交渉の結果、裁判によらず、解決金110万円を支払う内容での解決に至りました。会社の当初提示額である約22万円から、約88万円の増額となりました。
- 金額の交渉に加え、合意書案についても、口外禁止の対象が不明確であることや、違反した場合の違約金が過大であることを指摘し、条項の見直しを求めました。
ルノ法律事務所
髙山 弁護士からのコメント

この事例のポイント
本件では、会社の提示額だけを見るのではなく、その根拠となる計算書を一つずつ検証したことが、増額交渉につながりました。
特に、基本給と歩合給が併存する給与体系では、どの賃金を基礎として、どの労働時間に対する割増賃金を計算しているのかを丁寧に確認する必要があります。本件では、会社側の主張を踏まえた計算でも提示額に問題があることを具体的な数字で示し、110万円での解決につなげました。
解決までの期間 9か月




